狂おしき本能、我が身も焦がす。

誰かを喪ったことはあるのかい？
最愛の人を喪ったことはあるのかい？



『僕』が望んだ日常は、『僕』が壊して過ぎ去った。

『僕』がどんなに叫んでも、『僕』の言葉じゃ護れやしない。

どんなに強く抱きしめようとも、血塗れた家族は治せやない。



なんて無力な自分だろう。
自身の誓いも護れぬ半端者がなんでどうして生きている？



いつの間にやら『僕』から『俺』に。
強さの証明が欲しくて欲しくて、



喧嘩に明け暮れ、
決闘で斬り刻み、
戦争で暴れ回り、


いつの間にやら、『俺』は狂った。

涙は枯れた。
心は折れた。
力だけがまだ足りぬ。


『俺！ゼッテー強くなって皆護ってみせるんだ！』

『僕』が誓った愛の言葉は、『僕』を砕いた呪いの言葉。



「貴方を護る」？　「貴方を一生愛してる」？

なんでそんな簡単に言えるんだ！？どうして誓いを立てられる！？

そんな言葉なんかじゃ救えない！気持ちだけじゃあ意味がない！


それでも皆は口に出す。
それは強さと言うんだろうか？

強いからこそ口に出す？

羨ましくて妬ましく、ただただ怒りに身を任す。


だったら俺は強くなる。
力があれば護れるのなら
力があれば愛せるのなら

俺は、生きる全てを捧げよう。



俺は護れる力が欲しい。
お前は強い、あいつもそいつも誰もが強い。


だからお前の力を寄越せ。
お前を殺す、あいつもそいつも全てを殺す。


敗者を地獄に突き落とし、勝者は再び修羅の道。


涙は棄てた。
心は死んだ。
力だけが先走る。



そろそろ俺を止めてくれ。
壊れた俺を止めてくれ。